「ぶらり途中下車の旅・火の国編」




第一回〜旅立ち〜
「こりゃ、今夜誰かが殺されるな・・・」
寝台特急はやぶさに乗り込んだ私が最初に抱いた感想はこれだった。
火曜サスペンスとかの旅情モノで見たのと同じ光景だ。狭い廊下に コンパートメントが並ぶ。
今にも奥の個室から片平なぎさが息を切らせながら
「刑事さん!白井さんが死んでますッ!」
と出てきそうな雰囲気だ。
初めてブルートレインに乗ったのになぜが懐かしい。
旅情サスペンスの見すぎなだけかもしれないけど・・・。


「個室は小宇宙」

A寝台は個室だった。1畳ほどの空間にコンパクトにベット等が並ぶ。
狭いのになんだろう、この心地よさは・・・? にゃんこは狭いところを好んで潜り込むけど、今ならその気持ちが 分かる。彼らはこういう気持ちだったんだ・・・。
家に帰ったらこういう部屋を作ろう。壁を仕切るだけだからなんとかなるはず。
そういえば茶の道の茶室も狭い空間だったっけ。そうか、ゆったりするのは 広々とした空間が必ずしも必要じゃないんだね。
そこでふと思い出す。
「どうして俺ってばブルートレインに乗ってるんだろ・・・?」
そうだ、私は今日は打ち合わせに編集部に行くはずだったのだ・・・。


話は数時間さかのぼる。
私はエース編集部にいた。打ち合わせのためだ。
担当氏との打ち合わせもあらかた済んで、世間話になった。
聞けば担当氏はこれから吉田戦車先生とブルートレインに乗って熊本へと向かうという。
「ブルートレイン・・・」
なんと甘美な響きだろう・・・。行きたい・・・。
考えてみればたの甲連載開始以来、遠くへは全然行ってない。
しかも最近は家に篭って小さなメダルや不思議な石版を探す旅の毎日・・・。
こころが少しすさんでいたのかもしれない。
多分、私は物欲しそうな顔であさっての方を向いて惚けていたのだろう。
憐れに思ったのだろうか、担当氏はこう言ってくれたのだった。

「いっしょに行く?」



しかし私の荷物と言えば打ち合わせのためのノート一冊と 携帯テレビのみ。(日本シリーズを帰りの電車の中で見ようと思っていた)
何、別におしゃれパーティに出かけるわけじゃない。ぱんつもシャツも 日本中のコンビニに売ってるじゃないか!
しかし一つだけ心残りのことがあった。ホームページの更新だ。 ほぼ毎日かかさなかったので、いきなり更新停止は気がとがめる。
そこで天啓が舞い降りた。
モバイルだ!!
ちょうどバイオノートC1の新型が出たところだった。 モバイルでHP更新・・・。
その言葉の響きに完全に酔ってしまっていた。思考レベルはプランクトン並みに 単純化されていたに違いない。
「ちょっと先に行っていてください!6時には東京駅に必ず行きますから!」
そう叫ぶと私は秋葉原へと向かった。
2時間後、私を見た担当氏は悲しそうな顔をしていた気がする。
出発時の格好



「とりあえず、最初のオチ」
モバイル・・・。ええっと、簡単に結論から言いますと、 皆様のご存知のとうり 大失敗でした。
まず、電車はトンネルなどがあり電波がプチプツ途切れます。 ファイルがダウンロードできない・・・。普通はモバイルといったら、 家で周到な準備をするものなのです。必要なソフトを集めたり・・・。
しかもさっき買ったばっかりだから使い方がイマイチ分からないという、 もうなんだかなー・・・。
かろうじて掲示板のに数行書き込めただけ・・・。
こうしていきなり計画大失敗から熊本旅行は始まったのだった。
猛烈に濃厚な4泊5日の旅が・・・。

〜第二回へつづく〜


もどる